耐熱性が高いSUS310Sの特性を徹底解説

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大阪守口市にあるフィリール株式会社は、ステンレスのフライス加工に特化した金属加工会社です。

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目次

1: SUS310Sの特性と耐熱性

1-1: SUS310Sとは?その成分と基本情報

SUS310Sはオーステナイト系ステンレス鋼の一種で、耐熱性と耐酸化性に優れています。主成分はクロム(約24〜26%)、ニッケル(約19〜22%)、炭素含有量が極めて低く(0.08%以下)炭素の少なさが耐晶粒成長や耐熱脆化の抑制に寄与します。主に高温炉部品やボイラー、化学プラントなど過酷な環境で使用されます。

1-2: 高温に対する耐熱温度と性質

SUS310Sは1100〜1150℃程度までの連続使用に耐え、短時間であれば1200℃以上の高温にも耐えることが可能です。高温下でも優れた強度を保持し、酸化やスケール形成に対して高い耐性を持つため、熱衝撃にも比較的強い材料です。

1-3: SUS310とSUS310Sの違いについて

SUS310とSUS310Sの主な違いは炭素含有量にあります。SUS310は炭素含有量が0.25%以下、SUS310Sは0.08%以下に抑えられており、SUS310Sは低炭素タイプとして溶接後の耐熱脆化が少なく、長期高温使用時の耐久性に優れています。

1-4: オーステナイト系ステンレス鋼の特徴

オーステナイト系は安定した高温強度、耐熱性、耐腐食性を備え、非磁性で加工性も比較的良好です。SUS310Sは特に耐熱合金としての性質を活かし、熱的に厳しい環境で多用される代表的な材料です。


2: 熱膨張係数と加工特性

2-1: SUS310Sの熱膨張係数一覧

SUS310Sの線膨張係数は20〜100℃で約16.0×10⁻⁶/K、100〜500℃で約17.0×10⁻⁶/K、500〜1000℃で約18.0×10⁻⁶/Kと比較的高い値を示します。これは熱変形や寸法変化の設計上考慮が必要です。

2-2: 高温環境下での熱膨張の影響

高温に曝されると熱膨張により部品の寸法変化や応力集中が起こりやすく、特に異種材料との接合部では熱応力が問題となります。適切な設計やクリアランス設定、熱膨張差を吸収する構造が求められます。

2-3: 加工時の条件と注意点

SUS310Sは耐熱合金のため硬度が高く切削加工は難しいことがあります。切削工具には超硬合金やセラミック製を使い、切削速度は低め、冷却油の使用が推奨されます。熱影響を避けるため加工熱の管理も重要です。

2-4: 機械的性質と強度の評価

常温での引張強さは約520〜720MPa、耐熱強度も高く、クリープ強度も優秀です。高温下での強度保持が可能であり、特に長時間の高温使用に適しています。


3: 耐熱性における特性

3-1: クリープ強度とその重要性

クリープ強度は高温での時間経過に伴う塑性変形の抵抗力であり、SUS310Sは高いクリープ強度を示します。これにより長期間高温下でも変形や破損を抑制でき、炉体やボイラー部品の安全性を確保します。

3-2: 耐熱性を向上させる素材成分

クロムとニッケルの高含有量に加え、シリコンやマンガンが酸化膜の安定化に寄与し、耐熱酸化性を高めています。低炭素化は粒界析出物を減らし、耐熱脆化のリスクを減少させる効果もあります。

3-3: 酸化に対する耐性と影響

SUS310Sは高温環境下での酸化やスケール形成に強く、表面に安定した酸化被膜が形成されるため酸化による劣化が遅いです。これにより、長期間にわたり材質の保護が維持され、機械的性質の低下を抑制します。

4: SUS310Sの用途と使用例

4-1: 高温環境での具体的な用途

SUS310Sは優れた耐熱性を活かし、発電所のボイラー管、ガスタービン部品、排気管、熱交換器、炉材、耐火ライニングなどの高温環境で広く利用されます。特に連続的に1000℃以上の熱負荷を受ける箇所での使用が多く、耐酸化性と強度が求められる産業設備に適しています。

4-2: 食品業界における食性の重要性

SUS310Sは食品加工設備においては主に耐熱性の観点で使われることが多いですが、耐食性と衛生面でも一定の評価があります。食品との接触に際しては非磁性で洗浄性が高く、耐腐食性も優れているため、熱処理装置や殺菌機器の構造部材として利用されています。

4-3: 溶接方法とその特性

SUS310Sの溶接は低炭素仕様のため熱影響による脆化が抑えられ、TIG溶接やMIG溶接が一般的です。溶接時の熱管理が重要で、溶接割れ防止のため予熱や後熱処理が適切に行われます。溶接部の耐熱・耐食性維持にはフィラー材の選定も重要です。


5: SUS310Sの経済性と市場動向

5-1: キロ単価とコストパフォーマンス

SUS310Sは特殊鋼の中でも比較的高価な材料ですが、その優れた耐熱性・耐食性による長寿命とメンテナンスコストの削減で総合的なコストパフォーマンスが評価されています。大量生産向けの汎用材料と比べて単価は高いものの、長期的な運用を考慮した場合、経済的な選択となることが多いです。

5-2: 市場における需要と供給

耐熱合金としての需要は発電、化学処理、製鉄、食品加工といった多様な分野で安定的に存在し、供給も世界的に確保されています。ただし、ニッケルなどの高価な原材料価格の変動や製造工程の複雑さが価格変動に影響します。

5-3: 将来の材料選定の考慮点

将来的には耐熱性と耐食性のさらなる向上を狙った改良合金や新素材の登場が期待されますが、SUS310Sの信頼性と豊富な実績は引き続き重要視されます。環境規制やコスト削減の要請に応じて材料選定を柔軟に見直す必要があり、リサイクル性や環境負荷も評価基準に加わる傾向があります。


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