SUS304の密度と比重について詳細解説

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目次

1: SUS304の基本情報

1-1: SUS304とは何か

SUS304は代表的なオーステナイト系ステンレス鋼の一種で、クロム(約18%)とニッケル(約8%)を主成分としています。優れた耐食性と加工性を持ち、幅広い産業分野で使用されている汎用性の高い材料です。特に耐食性が求められる厨房機器、建築資材、自動車部品、化学装置などで多く利用されています。

1-2: SUS304の化学成分

SUS304の主な成分は以下の通りです。

  • クロム(Cr):18〜20%
  • ニッケル(Ni):8〜10.5%
  • 炭素(C):最大0.08%
  • マンガン(Mn):最大2%
  • シリコン(Si):最大1%
  • 硫黄(S):最大0.03%
  • 燐(P):最大0.045%
    これらの元素配合により、耐食性と機械的特性のバランスが確保されています。

1-3: SUS304の物理的特性

SUS304は常温で優れた耐食性を持ち、さらに耐熱性も良好です。融点は約1400〜1450℃で、熱伝導率は約16 W/m·Kとステンレス鋼の中では低めです。また、熱膨張係数は約17.2×10⁻⁶/K(20〜100℃)で、温度変化に伴う寸法変化も考慮が必要です。

1-4: SUS304の機械的性質

引張強さは約520〜750 MPa、降伏強さは約205 MPa以上で、伸び率は約40%と高靭性を示します。硬さは一般的にHRB70〜90の範囲にあり、加工性にも優れています。これにより、板金加工や深絞りなどの塑性加工に適しています。


2: SUS304の密度とは

2-1: 密度の定義と単位

密度とは、物質の単位体積あたりの質量を指し、一般的に「kg/m³」または「g/cm³」で表されます。材料の軽重を示す基本的な物理量であり、材料選定や構造設計で重要な指標となります。

2-2: SUS304の密度の数値

SUS304の密度は約7.93 g/cm³(7930 kg/m³)です。これは鉄の密度に近く、ステンレス鋼の中では標準的な値となっています。この密度はSUS304の材料特性を反映しており、設計時に質量計算や重量配分を行う際の基礎データとなります。

2-3: 密度が持つ意味

密度が高い材料は同じ体積で重くなるため、構造物の重量増加につながります。逆に密度が低いと軽量化が可能ですが、強度や耐久性とのバランスも考慮する必要があります。SUS304は耐食性と機械的強度を兼ね備えた適度な密度の材料として広く使われています。


3: SUS304の比重について

3-1: 比重の定義と測定

比重は、材料の密度を基準物質(通常は水、密度1.0 g/cm³)と比較した無次元の値です。比重は単位を持たず、物質の「重さの相対的な重さ」を示します。比重は比重計やアルキメデスの原理を利用した浸漬法で測定されます。

3-2: SUS304の比重の計算

SUS304の比重は密度を水の密度で割った値であり、約7.93となります。これはSUS304が水の約7.9倍重いことを意味しています。設計や流体力学、材料特性評価の際に比重は重要な指標です。

3-3: 比重と密度の関係

密度は物理的な質量密度を示し、比重は密度の相対値であるため、密度が変わると比重も変化します。ただし、基準物質の密度が一定であれば、比重は密度に比例します。SUS304においては比重と密度の値はほぼ一定で、材料の特性評価に両者が併用されます。

4: SUS304の物性一覧

4-1: 主な物性値の一覧

SUS304の代表的な物理・機械的物性値は以下の通りです。

  • 密度:7.93 g/cm³
  • 融点:約1400〜1450℃
  • 熱伝導率:約16 W/m·K
  • 熱膨張係数:約17.2×10⁻⁶ /K(20〜100℃)
  • 比重:約7.93
  • 引張強さ:約520〜750 MPa
  • 降伏強さ:約205 MPa以上
  • 伸び率:約40%
  • 硬度(HRB):70〜90

4-2: 引張強度とヤング率

  • 引張強度はSUS304の耐力の目安で、約520〜750 MPaと高い強度を持っています。
  • ヤング率(弾性係数)は約193 GPaで、材料の弾性変形の硬さを示します。これにより、構造物の剛性設計に重要な役割を果たします。

4-3: ポアソン比と硬度

  • ポアソン比は約0.27〜0.30で、横変形に対する縦変形の割合を示します。
  • 硬度はブリネル硬度(約150〜200 HB)やロックウェル硬度(HRB 70〜90)で評価され、加工性と耐摩耗性のバランスが良好です。

5: SUS304の重量計算

5-1: 板厚による重量計算

SUS304の重量は、板厚や形状により変化します。特に板材の場合、重量は以下の式で求められます。

重量(kg) = 板厚(m) × 幅(m) × 長さ(m) × 密度(kg/m³)  

5-2: 密度を利用した重量計算式

SUS304の密度は7,930 kg/m³なので、実際の計算は下記のようになります。

重量(kg) = 板厚(m) × 幅(m) × 長さ(m) × 7,930  


例えば、厚さ1 mm(0.001 m)、幅1 m、長さ1 mの板の重量は7.93 kgとなります。

5-3: 用途別の重量計算事例

  • 配管材の重量計算:管径や肉厚に応じて表面積を計算し、密度と掛け合わせる。
  • タンク製造:板厚と全体寸法から重量を算出し、耐荷重設計に活用。
  • 機械部品:部品形状を分割し、体積を計算して密度を掛け合わせることで部品重量を把握。

6: SUS304の用途

6-1: 一般的な使用例

SUS304は耐食性と加工性の高さから、家庭用品(調理器具、シンク)、建築資材(手すり、外装パネル)、自動車部品、化学プラント機器など幅広く使用されています。

6-2: 食品産業における特性

衛生面に優れ、耐腐食性が高いため、食品加工機械や厨房機器に最適です。酸や塩分に強く、清掃や殺菌も容易で安全性が確保されます。

6-3: 建築材料としての特性

耐候性や耐食性に優れ、屋外環境や海岸地域での使用に適しています。美観維持と耐久性が求められる外装パネルや手すり、階段などの構造部材に多用されています。

7: SUS304の加工と成形

7-1: 冷間加工と熱間加工の違い

  • 冷間加工は常温での加工で、加工硬化により強度が増す反面、加工硬化が進むと割れやすくなる。寸法精度が高く、表面仕上げも良好。
  • 熱間加工は再結晶温度以上(約1000℃以上)で行う加工で、加工硬化を解消し柔らかくなるため大きな変形が可能。主に粗加工に用いられる。

7-2: 加工性に影響を与える要素

  • 合金成分(Ni、Cr含有量など)
  • 冷間加工履歴や熱処理状態
  • 表面状態(酸化皮膜の有無)
  • 加工温度や潤滑条件

これらにより、SUS304の延性や切削性、絞り加工のしやすさが変動する。

7-3: 特別な加工技術

  • 深絞り加工に優れ、複雑形状の成形が可能。
  • レーザー切断ウォータージェット加工などの非接触加工も多用。
  • 表面硬化処理やショットピーニングで耐疲労性を向上させる技術もある。

8: SUS304の耐久性と腐食性

8-1: 耐食性について

SUS304はクロム含有による不動態皮膜形成により優れた耐食性を示し、多くの環境で錆びにくい。特に空気中や水中、弱酸性条件で強い。

8-2: 環境による影響

  • 塩水や強酸性環境ではピット腐食や粒界腐食のリスクが高まる。
  • 高温下では酸化皮膜の安定性が重要であり、環境によっては耐熱腐食が発生。
  • 汚染物質や微生物の影響も耐食性に影響を与える。

8-3: 腐食対策の方法

  • 適切な熱処理により不動態皮膜を強化。
  • 表面研磨やパッシベーション処理による皮膜再生。
  • 使用環境に応じた材料選定と保護コーティング。
  • 定期的なメンテナンスと清掃の実施。

9: SUS304の比較と選定

9-1: 他のステンレス鋼との比較

  • SUS304は耐食性と加工性のバランスが良く、一般用途に最適。
  • SUS316はモリブデン添加で耐塩化物性が高く、海洋環境に適する。
  • SUS430はフェライト系で磁性があり、コストは低いが耐食性はやや劣る。

9-2: 選定の基準

  • 使用環境の腐食性の強さ(塩分、酸性度、温度)
  • 機械的強度の要求水準
  • 加工性・溶接性の必要性
  • コストパフォーマンス
  • 対象製品の用途と寿命要求

9-3: 具体的な選定事例

  • 食品加工設備:耐食性と衛生面を重視しSUS304が多用される。
  • 海洋構造物:耐塩化物性を優先し、SUS316やより高耐食性合金が選択される。
  • 自動車部品:強度と加工性のバランスでSUS304が採用されることが多い。
  • 建築装飾:耐候性と美観からSUS304が広く利用されている。


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