ステンレスの導電性とは何か
導電性は、材料が電流を通す能力を示す指標であり、設計段階では抵抗値や接触特性が重要になります。ステンレスは鉄、クロム、ニッケルを主成分とするため、銅やアルミに比べると導電率は低いものの、特定用途では十分利用可能です。JISでも導電性の基準が定められています。
ステンレスの種類と導電性の違い
オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系の3大ステンレス種では、導電率に大きな差があります。
| 種類 | 代表鋼種 | 導電率(%IACS) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| オーステナイト系 | SUS304、SUS316 | 2〜3% | 耐食性高、磁性なし、溶接後の粒界腐食注意 |
| フェライト系 | SUS430、SUS444 | 10〜16% | 耐熱性・耐食性バランス良、磁性あり |
| マルテンサイト系 | SUS410、SUS420 | 1〜2% | 硬度高、耐摩耗性あり、磁性あり |
導電率は含有元素や結晶構造によって変化します。用途に応じた鋼種選定に関して解説で詳しく解説しています。
導電性の測定方法
ステンレスの導電性は実務上、抵抗値を測定して算出します。代表的な測定方法は四端子法で、接触抵抗の影響を最小化できるため精度が高いです。
- 準備:試験片の表面を研磨し、酸化膜を除去
- 測定:四端子法により電圧降下を測定し、抵抗値を算出
- 導電率計算:σ = L / (R×A)、L=試験片長さ、A=断面積、R=抵抗値
測定時の温度や表面状態による変動も考慮が必要です。
温度と加工が導電性に与える影響
ステンレスは温度上昇で抵抗値が増加し、導電率は低下します。また、冷間加工による硬化や溶接後の残留応力も導電性に影響します。
- 冷間加工:電子移動が局所的に阻害され、導電率低下
- 溶接加工:溶接部周辺に残留応力や熱影響が生じ、局所的に抵抗上昇
- 高温使用:オーステナイト系は400℃以上で導電率低下、フェライト系は比較的安定
用途別のステンレス導電性選定例
導電性を考慮した用途別選定例を紹介します。
- 電子部品:SUS430やSUS444、導電率10%以上で電気伝導性確保
- 建築・配管:オーステナイト系ステンレスSUS304、耐食性重視、導電性は副次的要素
- 医療機器:SUS316L、溶接後の粒界腐食耐性と十分な導電性を両立
導電性と耐食性・強度のバランス
ステンレスは耐食性と導電性がトレードオフになる場合があります。高導電性を求める場合はフェライト系が有利ですが、耐食性はオーステナイト系に軍配が上がります。用途や環境に応じて適切なバランスを取ることが重要です。
よくある質問
まとめ
ステンレスの導電性は種類、温度、加工条件によって大きく変動します。オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系それぞれの特徴を理解し、測定方法や設計上の注意点を押さえることで、用途に応じた最適な材料選定が可能です。本記事では、ステンレス 導電性の基本から測定方法、加工影響、用途別選定まで徹底解説しました。これにより、設計段階での失敗を防ぎ、耐久性と安全性を最大化できます。





