SUS304の比重や密度を知るための完全ガイド

1. SUS304の比重と密度の基本

1-1. SUS304とは?ステンレス鋼の特性

SUS304は最も広く使用されているオーステナイト系ステンレス鋼で、クロムとニッケルを主成分としています。優れた耐食性や耐熱性を持ち、強度や加工性もバランスよく備えているため、食品機械、化学プラント、建築材など多様な分野で活躍しています。

1-2. 比重と密度の定義と違い

比重とは「ある物質の重さを水の重さと比べた無次元の値」であり、単位を持ちません。一方、密度は「単位体積あたりの質量」を表し、kg/m³やg/cm³などの単位があります。比重は材料の重量感を相対的に知る際に用い、密度は体積を基準にした質量の計算などに使われます。

1-3. SUS304の比重と密度の数値

SUS304の比重は約7.93であり、これは水の重さの約7.93倍の重さであることを示します。密度は約7.93 g/cm³(7,930 kg/m³)で、一般的な鉄鋼材料とほぼ同等の値です。この数値は設計や材料の重量計算において重要な基礎データとなります。

1-4. SUS304の機械的性質と用途

SUS304は引張強さ約520〜720 MPa、耐食性に優れ、常温から高温にかけて広く利用されます。機械的な強度と加工性の良さから、パイプや板材、食品加工機器、厨房機器、医療機器など多彩な用途に適しています。


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目次

2. SUS304の比重と密度の計算方法

2-1. 比重の計算方法

比重は物質の質量を同体積の水の質量で割った値で算出されます。計算式は以下の通りです。

比重 = 物質の質量 / 水の質量(同体積)

このため、比重は単位を持たず、材料の重さを水と比較した相対値を示します。

2-2. 密度の計算方法

密度は物質の質量をその体積で割った値であり、式は次のようになります。

密度 = 物質の質量 / 体積

単位としてはg/cm³やkg/m³が一般的です。SUS304の密度は約7.93 g/cm³とされています。

2-3. SUS304の重量計算

SUS304の重量計算は、密度と体積の積で求められます。例えば、体積が1 cm³の部品であれば、重量は約7.93 gとなります。大型の製品や構造物の場合は、体積を正確に計測し、密度を掛け合わせて総重量を算出します。

2-4. 計算に必要なデータの一覧

  • SUS304の密度(約7.93 g/cm³)
  • 対象物の体積(cm³またはm³)
  • 必要に応じて温度や加工条件により密度の変動を考慮

3. 他のステンレス鋼との比較

3-1. SUS430とSUS304の比重比較

SUS430はフェライト系ステンレスであり、比重は約7.7とSUS304よりわずかに軽量です。この差は材料選定時に重要になることがあり、特に重量が設計上の制約となる場合に影響します。

3-2. SUS316の密度と特性

SUS316はモリブデンを添加したオーステナイト系で、耐食性がさらに高く、海洋環境や化学工場で多用されます。密度はSUS304とほぼ同じで約7.98 g/cm³です。耐熱性や耐薬品性を重視したい場合に適しています。

3-3. ステンレス鋼の種類と特徴

ステンレス鋼は大きく分けてオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系に分類され、それぞれ比重や密度、機械的特性が異なります。用途や加工方法、性能要求に応じて選択され、SUS304はその中でも汎用性が高い材料です。

3-4. 比重一覧の活用法

材料選定や構造設計、重量計算において、各種ステンレス鋼の比重一覧を活用することで、製品の軽量化やコスト削減、性能最適化が可能となります。特に設計段階での初期見積もりや比較検討に役立ちます。

4. SUS304の物理的特性

4-1. 温度や環境の影響

SUS304は幅広い温度範囲で安定した性能を発揮します。常温から高温(約800℃まで)でも形状や強度を保ち、低温環境でも靭性が低下しにくい特性があります。また、湿度や海水環境などの腐食性の高い環境下でも優れた耐食性を示し、屋外や化学プラントでの使用に適しています。

4-2. 腐食耐性と酸化の特性

クロム含有量の高さにより、表面に形成される不動態膜が酸素と反応して自己修復を繰り返し、長期間にわたり錆びにくい環境を作り出します。これにより、塩水や酸性環境下でも高い耐食性を発揮し、酸化による劣化を抑制します。

4-3. 機械加工における性能

SUS304は適度な硬度を持ちつつも、加工時の展延性や延性が高いため、切削や曲げ加工がしやすい材料です。ただし、加工硬化しやすい性質があるため、加工条件の最適化や適切な冷却が重要になります。

4-4. SUS304の耐熱性と軽量化

耐熱性に優れ、熱による変形や劣化が起きにくいことから、高温機器部品としても重宝されています。比重は約7.9で、軽量化素材ではありませんが、強度と耐食性のバランスを重視する用途では最適な選択肢となります。

5. SUS304の成分と化学的特性

5-1. SUS304の成分一覧

主成分はクロム約18%、ニッケル約8%、さらに炭素、マンガン、シリコンなどが含まれており、これらの組み合わせにより多様な性能を実現しています。

5-2. クロムとニッケルの役割

クロムは不動態皮膜を形成し耐食性を確保。ニッケルはオーステナイト相を安定化し、耐熱性と加工性を高めます。この二つの元素の比率がSUS304の特性を決定付けています。

5-3. 他の合金との相違点

SUS304は、例えばSUS430のようなフェライト系ステンレスと比べ、ニッケル含有により耐食性と靭性が高いのが特徴です。また、モリブデンを含むSUS316などと比較すると耐塩化物応力腐食割れ性能は劣りますが、コスト面で優れています。

5-4. 化学的性質が用途に与える影響

耐食性の高さは食品機械や医療機器など衛生面が重要な分野での使用を可能にし、耐熱性と機械的強度により化学プラントや建築材料としても利用されています。成分の微調整によって、用途に合わせた性能の最適化も可能です。


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