SUS304とSUS430を徹底比較!価格と性能をチェック

ステンレスのフライス加工にお悩みの企業様へ

金属加工にお悩みの方は是非「フィリール株式会社」へご依頼ください。

大阪守口市にあるフィリール株式会社は、ステンレスのフライス加工に特化した金属加工会社です。

お気軽にお問合せ下さい。

目次

1. SUS304とSUS430の基本解説

1-1. SUS304とは?

SUS304は代表的なオーステナイト系ステンレス鋼であり、その主成分はクロム(約18%)とニッケル(約8%)です。耐食性と耐熱性に優れ、錆びにくく加工性も高いため、食品機械、キッチン用品、建築部材など幅広い分野で使用されています。非磁性で、熱間および冷間加工に対応しやすいのも特徴です。

1-2. SUS430とは?

一方、SUS430はフェライト系ステンレス鋼に分類され、クロム含有量が約16~18%でニッケルを含まず、磁性を持つ素材です。耐食性はSUS304に比べ劣りますが、耐熱性や耐摩耗性に優れ、自動車部品や家電製品の外装など、コストを抑えつつ耐久性が求められる用途に適しています。

1-3. SUS系ステンレス鋼とは

SUS系ステンレス鋼は、日本工業規格(JIS)で定められたステンレス鋼の総称で、主にクロムとニッケルの含有量によりオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系などに分類されます。SUS304とSUS430は特に使用頻度が高く、それぞれの特性を生かした用途で使い分けられています。

1-4. オーステナイトとフェライトの違い

オーステナイトは高温で安定し、冷却後も室温で維持される非磁性の結晶構造です。これに対しフェライトは常温でも安定し、磁性を持つ体心立方構造が特徴です。オーステナイト系は耐食性が高く靭性に優れますが、フェライト系は耐熱性に強く、コスト面で有利です。用途に応じてどちらを選ぶかが重要です。


2. SUS304とSUS430の価格比較

2-1. 価格表とその違い

SUS304はクロムとニッケルの含有量が多いため、SUS430よりも高価です。具体的には、SUS304の市場価格はSUS430の約1.5倍から2倍程度になることが多いです。価格は需給や原材料の変動に左右されますが、常にSUS430より高い水準にあります。

2-2. 価格差の理由

価格差の主な理由は、SUS304に含まれるニッケルの影響です。ニッケルは世界的に供給が限られ価格変動が大きいため、材料費が高くなります。また、SUS304はより高度な精製と品質管理が必要である点もコスト増の要因です。

2-3. コストパフォーマンスの評価

価格だけでなく性能を考慮すると、SUS304は高い耐食性と加工性を持つため、長期的な耐久性やメンテナンスコスト削減に繋がります。SUS430は初期コストを抑えたい場合に有効ですが、腐食リスクのある環境では交換頻度が増える可能性があるため、総合的なコストパフォーマンスを評価することが重要です。


3. SUS304とSUS430の性能比較

3-1. 強度と硬度の違い

SUS304はオーステナイト系のため、靭性が高く延性に優れています。硬度は比較的低めですが、冷間加工によって強度と硬度を高めることが可能です。SUS430はフェライト系で硬度はやや高めですが、延性や靭性は劣るため、曲げや成形加工の際は割れやすく注意が必要です。

3-2. 耐熱性と耐腐食性の比較

耐熱性に関しては、SUS430のほうが高温環境に強く、約800℃までの使用に耐えられます。SUS304は耐熱性も良好ですが、特に耐腐食性で優れており、塩分や酸にさらされる環境での耐久性が高いのが特徴です。海洋環境や食品加工現場などではSUS304が多用されます。

3-3. 食性と環境への影響

SUS304は人体に対して無害であり、衛生的な面から医療機器や食品産業で広く使われています。SUS430も比較的安定していますが、耐食性の差から腐食による金属イオンの溶出リスクはSUS304より高い傾向にあります。環境負荷の観点からも、長寿命でメンテナンス頻度が低いSUS304の方が優れていると言えます。

4. 加工の観点からの比較

4-1. 成形・加工のしやすさ

SUS304はオーステナイト系で延性が高く、曲げや引き伸ばしなどの成形加工に非常に適しています。そのため、複雑な形状や薄板の加工に向いています。一方、SUS430はフェライト系で硬度が高く、脆性もやや強いため、加工時に割れやすく注意が必要です。加工性はSUS304の方が優れており、幅広い成形用途で使われています。

4-2. 溶接性の違い

溶接性については、SUS304は高い溶接適性を持ち、様々な溶接方法に対応可能です。溶接後も耐食性や機械的性質が保持されやすいのが特徴です。SUS430は溶接後に割れやすく、特に熱影響部の脆化が懸念されます。そのため、溶接には高度な技術や適切な熱処理が必要となり、作業が難しい場合があります。

4-3. 冷間加工と圧延の特性

冷間加工では、SUS304は加工硬化しやすいため、硬度と強度を高めることが可能です。これは製品の強化に有効ですが、加工硬化により成形性が低下するため適切な工程設計が必要です。SUS430は冷間加工耐性はやや低く、圧延時の割れや欠陥が発生しやすいことから、加工条件の管理が重要となります。


5. SUS304とSUS430の用途

5-1. 一般的な用途と選定理由

SUS304は耐食性と加工性のバランスが良く、キッチン用品、医療機器、化学プラント設備、建築部材など多様な用途に使われます。耐腐食性を最重視する場合に選択されます。対してSUS430はコスト面を重視した用途、例えば自動車の排気系部品や家電製品の外装、装飾部品などに多く使われています。

5-2. 産業別の必要性と評価

化学や食品業界ではSUS304の耐食性と衛生性が不可欠であり、高い評価を得ています。自動車や家電業界では、SUS430の耐熱性や加工性、コスト効率の良さが求められ、広く採用されています。産業の特性に応じて材料選択が行われています。

5-3. 食品業界での選択理由

食品加工設備では腐食による異物混入防止が重要なため、耐食性が高く清掃が容易なSUS304が選ばれます。SUS430は耐食性で劣るため、食品接触部分には基本的に使用されません。衛生面での安全性が最優先される食品業界において、SUS304の存在感は非常に大きいです。


6. SUS304とSUS430の成分比較

6-1. クロム、ニッケルの含有量

SUS304はクロム約18%、ニッケル約8%を含有し、これが耐食性と非磁性をもたらしています。対してSUS430はクロム約16~18%を含むものの、ニッケルをほとんど含まず、これが磁性や耐熱性の違いを生み出しています。

6-2. 添加元素の影響

SUS304にはマンガンやシリコン、炭素が微量含まれ、これらは強度や加工性の向上に寄与しています。SUS430は炭素含有量がやや高く、これが硬度や耐摩耗性を高める一方、延性を低下させる要因となっています。さらに、モリブデンなどの添加は耐食性向上に用いられ、SUS304に限定されることが多いです。

6-3. 材料特性における違い

成分の違いにより、SUS304は優れた耐食性と延性を持つ一方で、SUS430は硬度と耐熱性に優れ、磁性も有します。これらの材料特性の差異が、用途や加工方法の選択に大きな影響を及ぼします。使用環境や目的に応じて適切な材料を選ぶことが重要です。

7. SUS304とSUS430の規格

7-1. JIS規格について

SUS304とSUS430は日本工業規格(JIS)においてそれぞれ異なる規格番号で定められており、SUS304は主に「JIS G4303」、SUS430は「JIS G4304」で規定されています。これらの規格では、成分の許容範囲、機械的性質、表面状態などが詳細に規定されており、材料の品質を一定に保つための基準として機能しています。JIS規格は国内の製造業者にとって重要な指標であり、製品の信頼性確保に不可欠です。

7-2. 規格適合とその重要性

規格適合は製品の性能安定性や安全性に直結するため、設計や製造において重要な要素となります。SUS304やSUS430の使用に際しては、規格の要件を満たしていることを確認しなければなりません。適合していない材料は、強度不足や耐食性の劣化、加工不良などを引き起こす恐れがあります。特に医療機器や食品加工機器のような厳しい基準が求められる分野では、規格適合が法規制や品質保証の基本です。

7-3. 国内外の規格を比較

国内のJIS規格のほか、国際規格であるASTM(アメリカ材料試験協会)やEN(欧州規格)などもSUS304、SUS430に相当する材料規格を定めています。例えば、SUS304はASTMの304ステンレス鋼に相当し、SUS430は同じくASTM430に近い仕様です。国際的な取引や製品認証を考慮すると、これらの規格間の違いを理解し、適切に対応することが求められます。成分や試験方法、表面仕上げの基準に若干の差異があるため、用途に応じて最適な規格を選定することが重要です。


8. SUS304とSUS430の選定条件

8-1. 設計時に考慮すべきポイント

材料選定の際には、使用環境、機械的要求性能、加工性、コスト、耐食性など複数の要素を総合的に考慮する必要があります。SUS304は耐食性や延性が必要な場合に優先され、SUS430は耐熱性やコスト効率を重視する用途で選ばれます。また、磁性の有無や溶接方法、熱処理の可否も設計段階で重要なファクターです。これらを踏まえて材料特性と設計要求を適合させることが良好な製品性能につながります。

8-2. 工業用途での適合性

工業分野では、耐食性、耐熱性、強度、耐摩耗性などの要求が製品や用途により多様です。SUS304は化学プラント、食品機械、医療機器など、耐食性と清浄度が求められる環境に適しています。対してSUS430は自動車部品や家電製品の外装、耐熱部品など、コストを抑えつつ一定の耐久性が求められる用途に適合します。用途特性に応じた適切な材料選択は製品寿命や性能維持に直結します。

8-3. 材料の影響と関連技術

材料の選定は、製造プロセスや関連技術にも影響を与えます。SUS304の加工性の良さは複雑形状の製品化を可能にし、溶接や熱処理も比較的容易です。SUS430の場合、硬度が高く磁性もあるため、加工や溶接時には特別な配慮が必要となります。さらに、表面処理やコーティング技術を組み合わせることで耐食性や耐摩耗性を補強することが可能であり、設計と製造の両面で材料特性を活かす技術開発が進められています。

ステンレスのフライス加工にお悩みの方へ

ステンレスのフライス加工にお悩みの方は、
是非「ステンレスフライス加工製作所」へご依頼ください。

スタッフが丁寧にご案内いたします。

目次